BtoBマーケターがやるべき仕事の全体感

  1. マーケティング組織の役割とKGI・KPI設計
    • マーケティング組織の役割は、戦略や戦術を通じてビジネスに貢献し、受注・売上・利益の増加につなげることです。
    • マーケティング活動の成果を測定・追跡するのに役立つのが、KPI(Key Performance Indicator)とKGI(Key Goal Indicator)である。しかし、KPI/KGIを決めるのは、「数値として定義して報告するのが難しい」「環境を整えて運用を回すのが難しい」「受注という目標を宣言するのは勇気がいる」などの理由から、なかなか難しいものです。
    • KPI/KGIを設定するには、指標の定義を合意し、測定方法を確立してCRMSFAなどのデータベースと連携させる必要がある。マーケティング施策の結果を可視化し、CRM/SFAから数値を抽出する必要がある。Salesforceなどのツールを利用することもできるが、Excel表計算ソフトによる手作業も可能である。ツールの導入よりも成果の可視化を優先することが重要である。
    • B2Bマーケティング環境における業務運営のプロセスでは、コミュニケーションログや商談情報を入力・管理します。成果を出すためには、マーケティングと営業の連携が欠かせません。マーケティングが主導して全ての業務に責任を持ち、営業はCRM/SFAへの商談ログの入力やパイプラインの管理を行う必要があります。マーケティング機会として渡された商談は、リードの質をチェックし、商談が放置されていないかなど、週次でチェックする必要がある。マーケティングと各営業担当者の間でコミュニケーションを取り、理解と協力を得ることが必要である。CRMSFAの導入が早かったとしても、現状で商談が適切に管理されていないのであれば、マーケティング主導で商談の管理を進めることで、根本的な問題を解決することが必要であろう。
    • マーケティング組織には、KPI(Key Performance Indicator)とKGI(Key Goal Indicator)を設定し、ビジネスに貢献する勇気が必要である。CAC(顧客獲得コスト)とLTV(ライフタイムバリュー)は、マーケティング組織の収益性を決定する上で重要な役割を果たす。事業貢献にコミットすることで、マーケティング組織は戦略・戦術の幅を広げることができる。ただし、KGIを設定する前に、組織の習熟度を認識しておくことが重要である。初期段階では、扱いやすく短期的に成果が出るKPIからスタートし、徐々にKGIに近づけていくのが良いだろう。組織のニーズに最も適したKPIとKGIを見極めることが重要です。
  2. マーケティングプランを描き、戦略と戦術を宣言する
    • この章では、マーケティング施策の立案と実行、目標や予算の使い方の決定、計画や期待される結果などの戦略・戦術をまとめた「マーケティングプラン」の作成について説明します。効果的なマーケティングプランを作成するためには、以下の要素を考慮する必要があります。

    • 体制図 - マーケティングチームの役割と責任を視覚的に表現したもの。各チームメンバーの役割を明確にし、計画のどの部分を協力会社にアウトソーシングできるかを判断することが重要である。

    • B2Bマーケティングにおける3つのペルソナ - 顧客視点に立ったマーケティングプランの策定には、企業、組織、個人のペルソナが不可欠である。これらのペルソナには、企業の背景、目標や課題、企業内の個人の役割や責任などの情報を含める必要があります。

    • KGI、KPI、指標の定義 - マーケティングプランの成功を測定するために使用する主要業績評価指標(KPI)と主要目標指標(KGI)を定義することが重要である。

    • カスタマージャーニーマップ - 顧客の最初の認識から購入後の行動まで、顧客の企業での経験を視覚的に表現したもの。

    • ターゲット - マーケティングプランが対象とする具体的な顧客グループ。

    • マーケティング予算 - マーケティング活動に割り当てられた予算で、施策のカテゴリーと詳細な施策ごとに分類されている。

    • 測定環境と運用 - マーケティングプランの成功を測定し、必要に応じて調整するために使用するプロセスとツール。

       

    • マーケティングチームが効果的に協力を要請し、他部門と調整できるように、マーケティング計画を明確に宣言することが重要である。マーケティングプランの作成過程では、営業への間接的なヒアリング、アンケート、調査、データ分析などを行うことがあります。

    • 効果的なコンテンツマーケティング戦略を立てるには、カスタマージャーニーの各ステージごとにコンテンツを整理することが重要です。まずは既存のコンテンツをステージごとに整理し、必要なコンテンツは何かを考え、その難易度や優先順位を決定します。実施難易度と優先度を考慮したコンテンツの制作スケジュールを立てることが推奨される。マーケティング予算は、「販促・広告」「委託」「制作」「ITインフラ」の4つに分けて考えることが望ましい。カスタマージャーニーマップをもとに、どの施策に投資するかを決定する。マーケティング活動から期待される成果を推定するためには、施策のシミュレーションが必要である。シミュレーションの方法としては、成果目標からの逆算と予想リード獲得数からの試算の2つがある。試算に必要な数値は、目標フォローリード率、商談獲得率、有効商談獲得率、受注獲得率など。
  3. 商談機会を得るためのターゲットとフォローリードの考え方
    • ターゲットを考え、リードを追うことでビジネスチャンスを見つけるという内容です。まず始めに、本当にリードが不足しているのか、ターゲット企業やリードの内容が不明確なだけなのかを見極めることが重要です。リードを検証するために、著者は3つのステップを提案しています。(1)対象企業の条件を決める、(2)対象リードの条件を決める、(3)ハウスリストとマッチングさせる。ステップ1では、ターゲット企業の条件を実績から抽出し、分析することで仮説を立てることができる。FORCASのようなツールを使えば、条件に合致する具体的なターゲット企業を抽出することができる。ステップ2では、所属、役職、情報源や関心事、組織内での役割、仕事の責任範囲やミッションなどの要素を用いて、ターゲットとなるリード条件を決定する。ターゲット企業とリード条件は、別物として扱う必要があります。
    • フォローアップリードとリードクオリティの考え方をまとめると、リードをフォローアップするかどうかは、顧客の購買プロセスがカギとなる。フォローの優先順位は、お客様のフェーズ(想像、発見、データなど)と、会社の基準や「意志」に基づいて決定されます。質の高いリード」とは、お客様の希望するタイミングで、希望する購買・商談につながるリードのことです。リードの質の定義は、企業の基準や "意志 "によって変わる。ハウスリストは、リードと比較して、ターゲット企業、非ターゲット企業、非ターゲット企業のリード数、ターゲットフォローリード数、企業数を把握する必要がある。取引情報、連絡先情報、活動情報、商談内容などを保存・閲覧するためのデータベース(CRM/SFA)が必要である。ターゲット企業を分母として、自社が保有するリード数とターゲットリード数を把握する必要があります。この数字を把握することが、リードを生み出すというマーケティング組織の使命を客観的に見るための鍵になる。
  4. 信頼と期待を得るためのコンテンツによるアプローチ
    • BtoBマーケティングにおいて、コンテンツは信頼を築き、顧客の意識を変える重要な役割を担っています。そのためには、企業が伝えたいことよりも、顧客が知りたいことに重点を置き、顧客目線でコンテンツを企画・制作・配信することが必要です。コンテンツを構成する5つの要素は、ターゲット、目的、タイプ、フォーマット、トピックであり、リーチ手段(Eメール、電話、Webサイトなど)も重要な検討項目である。コンテンツの目的や軸を明確にし、ぶれないようにすることで、顧客との接点や体験の連続性を通じて商談につなげることができる。顧客との関係性に基づいたコンテンツ戦略を立案し、マーケティングチーム内で調整する必要がある。自社のサービスや商品を紹介するためだけのコンテンツ作りでは、集客や新規リードの創出にはつながらない。
    • マーケティングオートメーション(MA)ツールは、デジタル行動の検知や顧客ニーズの把握に活用することができます。これらのツールは、顧客データやステータスの管理、具体的な行動や頻度の計測、顧客の状況に応じたアクションの実行、ページ作成・フォーム設定・メール配信による顧客アプローチなど、代表的な6つの機能を備えています。MAツールは、その目的を正しく定義し、部門間の連携があって初めて成功するものです。コンテンツ制作は自動ではできませんし、MAツールでは新規の見込み客を獲得することはできません。リードナーチャリングを実現するためには、段階的なCV設計と、お客様の検討状況に応じたコンテンツ作成が必要です。リードナーチャリングとは、お客様から認知・信頼・期待を獲得し、ビジネスチャンスを掘り起こすための一連の取り組みです。大切なのは、無理にステップアップさせることなく、お客様が欲しい情報を欲しい形で提供することです。コンテンツのコンセプト、目的、軸に加え、ステップバイステップのCV設計とそれを支えるMAツールによって、ビジネスチャンスにつながる接点や体験の連続性を生み出すことができます。
  5. トスアップと相互コミュニケーション
    • ビジネスチャンスを最大化し、無駄を最小化するために、営業とインサイドセールスは、「投げ売り」の条件を決め、定期的に見直す必要がある。条件を決めるアプローチとしては、「受注企業の分析」「商談の背景の分析」「分析結果のすり合わせ」「供給量の確認」「除外条件の設定」の5つがあります。失注・成約のサイクルを作るには、理由の明確化、失注案件の分析、記録を明確にすることです。また、今後の商談に役立てるために、電話や商談のログを取ることも重要です。基本的なログは、担当者の詳細や電話・商談の内容などを記載することです。
    • 職場におけるコミュニケーションの重要性とその密度を評価する方法について論じています。組織の歴史や文化によって、無意識のうちにコミュニケーションが遮断されていることがあるため、著者は、組織内の異なるチームや役割間のコミュニケーションを可視化することを提案しています。また、議論のルールとして、①意見を否定しない、②一緒に決めない、の2点を守ることを提案しています。最後に著者は、マーケティング戦略を立てるためには、状況を俯瞰することが重要であると強調する。ターゲット企業のリード、商談、受注の状況を明確にし、それに応じてマーケティング活動を調整することを勧めている。
  6. さいごに
    • マーケティング組織の役割は、組織全体が持つ「変化に対する本能的な抵抗」に立ち向かい、組織内の異なる機能を結びつけることであるはずだ。これは、変化に抵抗して現状を維持しようとする人間の本能が、部門間の対立を招いているためである。マーケティング組織は、部門間のコラボレーションを促進し、一つの組織として機能させる役割を果たすことができる。そのためには、マーケティング組織は、明確な行動規範を持ち、組織全体を俯瞰する必要がある。行動規範には、メンバーが高いパフォーマンスを発揮し続けること、柔軟かつ積極的に行動すること、常に何をすべきか自問すること、誇りを持てる仕事をすること、説明責任と責任を果たすこと、などの指針が必要である。また、マーケティング組織のリーダーは、行動規範を体現する必要があります。

 

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