来週の相場見通し(1/30~2/3)|村松 一之(和キャピタル 運用本部部長)|note

  • 米国のインフレがピークアウトするとの見方。
    • FRBの利上げ停止による中央銀行リスクの低下、欧州経済のスタグフレーションリスクの後退、中国経済の急回復の見通しなどから、市場は楽観的になりつつあります。
    • このような楽観的な見方をしている要因のひとつに、株式・債券市場のボラティリティが低下していることが挙げられます。昨年の株式・債券市場の総ボラティリティが、過去の金融ショックに匹敵する水準であったが、現在は急速に低下していることを示している。
    • 債券市場のボラティリティが安定している背景には、FRBの利上げがターミナルレートに近づいていること、インフレが崩壊せずピークアウトしているというストーリー、FRBやバイデン政権からのサプライズがないこと、などがある。この株式と債券のボラティリティの低下が相まって、市場の楽観を支えている。
  • 最近の米国債入札は信じられないほど好調で、2年債、5年債、7年債の入札で過去最高を記録した。米国の銀行、海外の機関投資家、海外の中央銀行連邦準備制度の4大プレーヤーが米国債の購入を続けるかどうかは不明であり、この好調さが持続するかどうかが懸念されるところである。
  • また、米国債市場の流動性を示すブルームバーグの指数は、過去に比べればまだ高く、何かあれば再び上昇する可能性はあるものの、急速に低下している。
  • 米国債を取り巻く環境は昨年に比べて改善されているが、その持続性には懸念がある。さらに、シカゴ連銀の金融情勢指数がFRBの利上げ当初の水準に達するなど、金融環境はかなり緩和されており、FRBはこれを快く思っていない可能性がある。
  • 経済・市場に関連する問題として、インフレのピークアウトを楽観視することへの危惧、ウクライナ戦争の状況と市場への影響の可能性、ガソリン価格の上昇とそれがインフレ期待に与える影響の3点を取り上げる。
    • 最近ガソリン価格が上昇しており、これが短期的なインフレ期待の上昇につながる可能性があると指摘する。
    • また、クリーブランド連銀の1月CPI Nowcastingのチャートも、前月比のインフレ率が急上昇していることから、インフレがピークアウトしたという考えを覆す可能性があるとしている。
  • S&P500は第4四半期に-3%程度の下落が予想されており、1月の予想からは小幅な下落となっているが、全体としてはまずまずの決算である。
  • 米国政治における「マッカーシー・リスク」の出現にも触れている。これは、新たに下院議長に選出されたケビン・マッカーシー氏が、中国をさらに圧迫する特別委員会を設置し、下院情報委員会から民主党議員を解任した行動を指している。これは、今後の相場のリスク要因になると見られている。
  • 日本株の場合、問題は岸田内閣の増税政策であり、日本の個人消費に影響を与え、景気を悪化させることが予想される。
  • 来週は、FOMCとECBが市場の中心テーマとなることが予想されます。
    • FOMC、ECBともにハト派的な内容を市場が予想する可能性が懸念される。ラガルドが12月の会合でタカ派的な発言をしたことで、市場がラガルドの軟調な発言を "ドビッシュ・ターン "と解釈する可能性がある。
    • 経済指標では、労働市場ISM、31日に発表されるIMFの世界経済見通しが注目される。中国では旧正月明けの市場動向や1月のPMIも注目される。日米の主要企業の決算も注目される。全体的に楽観的なムードが漂っており、株価が下落した場合には、ディップでの買いが入る可能性があります。日経平均株価の見通しは26,500円から28,000円、米国の金利は上昇すると予想されています。
  • 高級品業界は、困難な経済状況下でも回復力があることで知られており、投資対象として興味深い分野といえるかもしれません。
    • しかし、Z世代やα世代といった若い世代の価値観や嗜好の変化に、今後どのように対応していくかも検討すべき点です。彼らは、旧世代ほどブランド志向ではないかもしれませんし、高級品を購入する理由も異なるかもしれません。ラグジュアリー企業がこうした変化にどのように対応していくのか、検討する価値があるかもしれません。

 

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